〔 むくみ ― 脾・肺・腎の異常を正して余分な水分を排出 〕

― 日常的なむくみを、漢方でからだの内側から改善 ―人体の水分代謝の基本システム

脾・肺・腎にトラブルがあると、不要な水分が滞る

人体の水分代謝の基本システムを、図示してみました(右図参照)。口から取り入れられた飲食物、特に水分は、このように体内をめぐり、不必要なものは汗や尿として外へ排出されます。この流れのなかで異常が起こると、水分が停滞し、むくみとなるのです。特に、水分の流れと関係の深い、脾(消化器系)、肺、腎の3つの臓器のうちの、いずれかにトラブルが起こっているものと考えられます。

脾は、胃で消化吸収された、からだに必要な水分をさらに吸収し、上部にある肺に送り込むという働きをする臓器です。肺は、送られてきた水分を、皮膚や上気道に運び、そこを潤し、不必要なものを汗として排泄させます。また肺には、高い位置にあることから、全身に水を送り込む働きも。そうして送られた全身の水は、最後に腎・ぼうこうに運び込まれ、不必要なものが尿として排泄されるという流れです。

むくみ以外の症状から、臓器の異常を見つけ、治療する

むくみが起きたら、むくみ以外の症状も考えて、どの臓器にトラブルがあったのかを考えます。そして、それに応じた漢方薬で治療するのが大切です。最近は、血の流れが悪くなったために水分代謝がうまくいかないという例もあり、血行をよくする漢方薬を併用することで、効果を上げています。右下に、トラブルのある臓器と症状の出方、むくみ以外の症状をあげ、その対策をまとめました。参考にして、むくみを早めに解消してはいかがでしょうか。

臓器の異常とむくみの出方、その対策

脾にトラブルがある場合

● 脾が弱っている場合
下半身が特にむくむ。からだが重だるい、腰や下肢が冷えて痛む(消化器症状はない)
→ 脾を強化し、筋肉に停滞している水分の代謝を改善。苓姜朮甘湯を使用

● 脾が冷えている場合
下肢が特にむくむ。尿量が減少する、手足が重だるい、腹痛、下痢、寒がり
→脾を温めて水分代謝をスムーズにする。真武湯を使用

● 妊娠による脾の機能低下の場合
妊娠中にむくむ。妊娠中の腹痛、尿の出が悪い
→ 脾の働きをスムーズにして水分代謝を改善する。当帰芍薬散+香蘇散を使用
  ※夕方のむくみには、当帰芍薬散に桂枝茯苓丸をプラス。

脾−肺にトラブルのある場合

● 脾−肺が冷えて働きが低下している場合
全身がむくむ。吐き気、口の渇き、下痢、尿量の減少、ときには発熱
  → 全体を改善して余分な水分を代謝させる。五苓散を使用
  ※風邪の嘔吐下痢症にも使われる

● 脾−肺の機能低下の場合
下半身がひどくむくむ。汗をかきやすい、からだが重だるい、水太り体質、膝関節に水がたまりやすい、尿量が減少、寒気がする、息切れ
→ 皮膚と筋肉の余分な水分を排泄する。防已黄耆湯を使用

腎の機能が低下している場合

下半身がひどくむくむ。腰や膝がだるい、下半身が冷える、尿量の減少や逆に多尿、夜間頻尿などの排尿異常がある
→ 腎を温め水分を尿に変化させる。牛車腎気丸を使用。効果がなければ真武湯を併用

脾・肺・腎に衰えのある場合
原因不明の突発的なむくみ
→脾・肺・腎の三臓を強化して水分代謝を改善する。六味丸+五苓散+当帰芍薬散。生理中のむくみにも応用できる

(月刊 『 寿 』 2005年7月号掲載)


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