〔 ストレス ― “肝”の負担を減らし“気”のめぐりをスムーズに 〕

からだを動かし、上手に“気晴らし”を

● “気”をコントロールする“肝”が不調な状態

中国医学では、感情と内臓の間には密接なつながりがあると考えています。喜怒哀楽が許容範囲を超えると、相当する臓器になんらかの症状が現れ、反対にその臓器が不調なときには、相当する感情が起こりやすいという考えです。

精神的なストレスの影響を一番受けやすい内臓は、“肝”。生命エネルギーである“気”が、ストレスによってスムーズに流れなくなった、つまり、“肝”によるコントロールがうまく行われなくなると不調が現れます。“肝”は、現代医学でいうところの自律神経や血液循環の調整を担う臓器。そのため、“肝”が不調だと、イライラする、怒りっぽくなる、ため息が出る、のどが詰まる、胸がすっきりしない、上腹部に膨満感を覚える、ガスがたまる、乳房が張るといった症状が。さらにストレスが続くと、これまでの症状にプラスして、顔が真っ赤になるほどの熱症状が現れ、耳鳴り、のぼせ、頭痛やめまいなどの心配も。

● “気”の流れの悪化により“血”が滞ることも

さて、“気”には“血”を流す作用もあります。そのため、“気”の滞った状態が続くと、“血”のめぐりも悪くなってしまうことに。これを気滞血おと呼びます。この状態では、毛細血管などの微小循環に障害が起こりがちになり、血液の粘度が上がって血栓の心配も出てきます。長引くと、冷えやのぼせ、生理不順、不妊、脳卒中や心臓病の危険性も出てきます。普段からイライラしている人が、怒った拍子に心臓の発作を起こした、などというのは、この気滞血?があったと考えられるのです。

● “気”の滞りを晴らすよい“気晴らし”を

ストレスによる不調を防ぐには、まず、“気”をめぐらせて滞りを解消すること。気滞血?の場合は、同時に血をサラサラにすること。滞った“気”を散じさせる、つまり“気晴らし”には、からだを動かすことが大事。血流もよくなるため気滞血おを防ぎます。簡単なウォーキングがいいでしょう。

私はよく、「夫婦ゲンカをしたら、相手を追い出すのではなく、自分から外に飛び出しなさい」といいます。それを聞いたお客様は「相手が悪いのに、なぜ自分が出て行くの?」と驚きますが、ケンカのストレスを発散させるためにも、歩くのが一番。自分の健康のためには、いったん、外へ退くほうが勝ちなのです(笑)。また、ケンカは大声で派手にすること。大声を出すことで濁気が外へ抜けますよ。ふだんから、肝を養うような緑黄色野菜や青い背の魚をとっておくことも、ストレスに負けないからだを作る上で大事です。

女性の場合は、排卵から生理までの期間、“気”が滞りがちになるので、“気”をめぐらす作用のある食べ物やおクスリ、工夫を知っておくと便利ですね。

中国医学における七情(7つの感情)と内臓の関係

 怒  ― 肝
 喜  ― 心
 思  ― 脾
悲・憂 ― 肺
驚・恐 ― 腎

■ ストレスによるからだの不調に対処する処方

症状が現れている部位に応じて、気をめぐらす理気薬を選択

のど・・・半夏厚朴湯、星火温胆湯
肩・・・血府逐お丸
乳房・・・逍遥散(のぼせのあるときは加味逍遥散)
胸脇部・・・柴胡桂枝湯(便秘がある場合は大柴胡湯)
腹部・・・開気丸
※気滞血おの場合、冠元顆粒を中心に。さらに症状によっては上記の部位に応じた処方にプラスし、以下の処方を併用。のぼせ、耳鳴りなどの熱症状があるときは竜胆瀉肝湯、黄連解毒湯を。頭が働かない、不眠などのときは酸棗仁湯、天王補心丹を。だるくて食欲がないときには帰脾湯、補中益気湯を。

滞った“気”をめぐらせる、日常の工夫

イライラしやすい人は普段から心がけるといいでしょう

香りのあるものを食べる、飲む
柑橘類、バジル、セージ、セリ、シソなどを食べる、ジャスミンティーをのむなど

香りのいいお湯で半身浴 ハーブを浮かべる、アロマオイルをたらす、香りのある入浴剤を入れるなど、香りのいいお湯にゆったりと

好きな香りを部屋に置く
アロマオイル、お香のほか、昔ながらのお線香も

禁煙・節酒を
タバコはやめてお酒はほどほどに。口さびしいときはガムや梅干しもいいかも

(月刊 『 寿 』 2004年11月号掲載)


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