〔 不眠症と漢方 ― 「心」の働きを整え、健やか眠りを 〕

中国医学では、「寝るときにはまず心を眠らせ、その後に眼を眠らせる」といいます。この心とは、五臓の心。血液循環だけではなく、「こころ」がある部分と考えられています。安眠を得るためには、心を落ち着かせる必要があるのです。心は気・血の作用により、活動を行っているため、これらの過剰や不足によって不眠が起こります。ですから、不眠解消のためには、気・血の過剰・不足を取り除く必要があるのです。心が正常に働くためには、他の臓器との関係も見なくてはいけません。中でも、不眠と関係するのは、肝・脾・腎とのバランス。表を参考にし、不眠改善を図ってみてください。

● 心‐肝の関係

肝は気血の流れの調節と、血の貯蔵を行う臓器。必要に応じ心に血を送る。

▽バランスの乱れにより起こる主な症状とその処方

  • 寝付きが悪くすぐ目が覚める
  • イライラし、怒りっぽい
  • 顔面紅潮
  • 口が苦い
  • 眼の充血
  • 便秘
  • 尿の色は黄色

→ 竜胆潟肝湯、柴胡加竜骨牡蠣湯、黄連解毒湯、三黄潟心湯

  • 眠れない
  • イライラ
  • 動悸
  • 眼のかすみ
  • のぼせ
  • 頭のふらつき

→ 加味逍遙散

心‐脾の関係

脾は胃と合わせて、心の働きに必要な気や血を食べ物からつくる臓器。

▽心‐脾のバランスの乱れにより起こる主な症状とその処方

  • 眠りが浅い、夢が多い
  • いったん目が覚めると、なかなか再び寝つけない
  • 動悸
  • 物忘れ
  • からだがだるい
  • 食欲がない
  • 疲れやすい

→ 帰脾湯

心-腎の関係

腎は水分調整や、血を精という状態で貯蔵しておく働きが。従って心‐腎が大切になるのは、次の2つの場合。

●体温調節機能
●血の補給

▽体温調節のバランスの乱れで起こる主な症状とその処方

  • 寝汗をかく
  • 胸苦しい
  • 手足のほてり
  • 口の渇き
  • 耳鳴り
  • 足腰がだるい

→ 天王補心丹

▽精血不足で起こる☆主な症状とその処方

  • 寝付きが悪く目が覚めやすい
  • 消極的になる
  • 不安感
  • 腰痛
  • 足腰のだるさ
  • 性欲減退
  • 物忘れ

→ 参茸補血丸、至宝三鞭丸

▽心‐胃のバランスの乱れにより起こる主な症状とその処方

  • イライラ
  • 眠れない、眠ってもすぐに目が覚める
  • 悪心
  • 口が苦い
  • 舌に黄色い苔

→温胆湯加減

!! 酸棗仁湯は、精神を安定させ眠りを深くする作用があり、いずれの処方とも併用するとよい。

(月刊 『 寿 』 2004年4月号掲載)


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