〔 毎日の工夫でかゆみ知らずに 〕

かゆみといっても、その原因はさまざまです。皮膚病だけでなく、ストレスや薬剤の副作用、糖尿病や甲状腺の異常、肝胆系や腎臓・リンパ系の疾患、造血器系の悪性腫瘍などでも起こります。外用薬を使用していても改善がみられないときは、これらの疑いを考えて、その原因を調べることが必要です。安易な自己判断は控えたいものですね。

ここでは、アトピー性皮膚炎や老人性乾皮症などから起こるかゆみについて、その日常生活における養生法を考えてみましょう。

@ 爪を切ること

まず、爪を切って、やすりをかけておきましょう。寝ているときや、気づかないときにかいたとしても、皮膚の傷が小さくてすみます。特に夏は、「暑い→汗をかく→かゆい→患部をかく→傷ができる→治りにくい」と悪化の一途をたどりますので、注意が必要です。

A 肌にやさしい入浴方法を

乾燥肌の人は特に、皮膚のバリア機構が低下していますので、入浴も注意が必要。洗い過ぎと長風呂は避けましょう。刺激の少ないボディシャンプーなどを手につけ、円を描くように軽くこすって洗います。ナイロンタオルは禁物。

お風呂に入って指がふやけることがありますが、それは皮膚を保護している皮脂が溶け出したサインです。後で乾燥がひどくなる印。カラスの行水程度がいいでしょう。お湯の温度は三十八度程度に。高過ぎると血管からかゆみを引き起こす成分が出てきて、かゆみの原因となりますので気をつけてください。

B 入浴剤を使い分ける

さら湯よりは、保湿剤の配合された入浴剤を入れたほうが、お肌にやさしくなります。ただし、添加物が配合されたものは、皮膚に負担となる場合がありますので、なるべく生薬を。入浴剤は皮膚の状態をジクジクタイプとカサカサタイプに分けて選びましょう。

ジクジクタイプには、最近、スベリヒユが注目されています。畑では雑草として嫌われますが、おクスリとしての効果は抜群です。使用ポイントは、赤み、水泡、びらんのみられるとき。新鮮なものや乾燥したものを、金銀花(スイカズラ)やハッカなどと一緒に入浴剤として用います。また、単独で煎じた液を湿布剤として患部に湿布するのも一つの方法です。

カサカサタイプには、地黄や当帰の煎じ液を。各二〜四グラムを六百ミリリットルの水に入れて沸かし、沸騰したら弱火で半量まで煮詰めます。その液をお風呂に入れましょう。

C 保湿剤を活用する

保湿剤は、皮脂膜を再建するために使用します。医療機関では主に、白色ワセリン、亜鉛華軟膏、ヘパリン類似物質、アズレン含有軟膏、ビタミンA含有軟膏などが。市販のものでは、コラーゲン、セラミド、尿素、ガンマオリザノール、ヒアルロン酸、ツバキ油などがあります。いいといわれているものでも、人によってはかぶれやすいということもありますので、注意が必要です。

オリーブオイルが肌に近い成分を含んでいるので、私はこれを自分でも使用し、他の人にも勧めています。お風呂上がりに、まだ水滴がついているうち、からだに薄く塗りましょう。乾いてきたら、タオルでからだの水分を拭き取ってください。

中国では、漢方薬を保湿剤のなかに取り入れて、治療に取り組んでいます。スベリヒユ、板藍根、当帰、紫根、黄柏などの、皮膚を潤して炎症を抑える働きのある生薬を利用し、外用薬を作って治療を。これらが入った中黄膏や紫雲膏、太乙膏などは日本でもよく使われているものです。さらに多くの生薬を症状に合わせて加えることも、効果を高めることになります。くわしくは、中医学の専門家に相談して、自分にあったおクスリを考えてみるのもよいでしょう。

(月刊 『 寿 』 2003年8月号掲載)


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