〔 中庸を心掛けて、疲れ知らずに! 〕

疲れやだるさは、日常的によく見られる症状です。これは、からだの異常を知らせる反応ですから、しっかりと耳を傾けましょう。“馬鹿は死ななきゃ治らない”などとひどいことをいいますが、健康という側面から見ると、からだの反応が鈍って、反応できないという、マヒの異常事態であり、そのために死につながる言葉であると、私は理解できると思います。からだに異常がなくとも、大丈夫とは限らないのです。

● 陰陽バランスの崩れが原因

疲れを感じたら、まずは無理をしないでからだを休めましょう。そして、十分に睡眠を。これでとれれば、普通の肉体疲労。ところが、休養や睡眠でもとれない場合は、精神的なものが関与しています。また、内臓疾患からきている場合もありますので、日ごろから体調を管理しておくことが必要です。現代人の傾向として、運動不足による疲労と、こころの疲れがよく見られます。

人間は、陰陽のバランスの上に立っているというのが、中国医学の考え。ですから、疲れはからだの静(陰)と動(陽)のバランスがとれていないときに出ると考えられます。静、つまり休み過ぎても疲れは出るし、動、つまり働き過ぎても出る。

これに対し、中国医学の基本は、「中庸の美徳」です。〜し過ぎ、〜しなさ過ぎというのは、どちらもからだのためによくないことを、覚えておきましょう。脳、つまりこころとからだの関係も同様。現代人のように、脳だけ酷使し、からだをあまり使わない状態では、この陰陽のバランスが崩れてしまいます。昔からの「よく学び、よく遊べ」という考え方は、お互い片一方だけを使うのではなく、両方のバランスをとりなさいということなのでしょう。

● バランスをとる日常生活

現代人に多い仕事の疲れは、頭脳労働者、つまり座りっぱなしでデスクワーク中心、神経を使う仕事などによるでしょう。こういう場合は、からだを休めることよりも、むしろからだを動かすようなスポーツを。ただし、急に激しい運動をすると心臓に負担をかけるので、ウォーキング程度で。日常のなかで、とにかくからだを動かすようにしましょう。肉体労働者は、頭を使ってバランスをとることで疲労をとります。音楽鑑賞、読書、絵を描く、美術館巡りなど、何でもかまいません。要はこころとからだのバランスをとることです。

さて、同じことをしても、疲れの感じ方は年齢によって違います。例えば日曜日のゴルフ。疲れが翌日の月曜日に出るなら三十〜四十歳代、火曜日なら五十歳代、水曜日なら六十歳代の肉体感覚だと思います。週半ばで疲れが出るようなら、運動不足か体力低下が起こっていますよ。もし、疲れることが最初から分かっているようなら、前もって漢方薬をのんでおきましょう。薬用人参類を、目的に応じて服用するとよいでしょう。中でも、西洋人参は、からだを元気にしながら、頭を使い過ぎて興奮した中枢神経を抑制し、沈静化する作用があることから、中国では頭脳労働者や受験生に人気があるそうです。ちなみに私は、受験生には、本番前のここ一番いうとき用に牛黄製剤と、血のめぐりをよくする田七人参を併用してもっています。勉強に集中できて、はかどるようです。

さて、疲労回復には食事のとり方も重要。中国医学では、甘味が疲労を回復し、同時に胃の働きをよくすると考えています。一番身近な甘いもの、それは主食の米です。米は胃腸の弱い人の疲労回復に優れています。お酒になると、今度は甘味と同時に辛味を持つことになります。辛味には発散作用、循環促進作用がイライラしたときにお酒をのみたくなるのは、この発散作用を期待してのこと。疲れたときには、甘味のあるお酒を少々。疲労回復に役立ちます。

(月刊 『 寿 』 2003年1月号掲載)


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