不妊症と中国漢方」88
南京中医薬大学附属病院における不妊症の研修を終えて

 昨年の11月末に1週間ほど、南京中医薬大学附属病院で不妊症の治療で有名な中国漢方周期療法について研修を受けてきました。
 私たちが研修で訪れたのは、日本で言えば国宝級の実力を備えた医師が診察を受け持つ「特別診察室」。ここで、不妊治療の名医としてまた、周期療法の提唱者として知られる夏桂成教授の診察を拝見することが出来ました。
 患者さんは教授の診察を受けるために遠くから来院し、しかも自費、順番待ちも多く大変とのこと。それでも、教授の診察を受けたいため一生懸命です。患者さんは、基礎体温表を教授に見せながらいろいろ質問をしています。教授は、それに答えながら脈や舌を診て、処方を選びます。それを助手がカルテに記載していきます。
 一人っ子政策の中国。そのひとりさえ、できないことで悩んでいる女性が多くいます。日本は少子化で困っていますが、中国では逆に人口増加が悩みの種。国としては、あまり不妊治療に力を入れたくない様子です。
 自然妊娠では無理で、当然、体外受精にまでいくこともあります。話を聞いて驚いたのが、体外受精時に1回に戻す受精卵の数。日本を含め先進国では、多胎妊娠を防ぎ、母子の安全を考えて3ケまでとなっていますが、中国では・・・。聞いて驚きました。1ケだけです。子どもが欲しいという要求と必要ないという政策。この妥協点がこのような数字となって現れてくるのでしょうか。
 教授は言います。中国漢方は、体を整える目的で使うのだ。そのことによって、その人の持つ妊娠力が高まるのだと。戻す受精卵の数など問題ではないかのようでした。妊娠力を高めるためには、しっかりとした基礎作りが大事。土台をしっかりと作れば、さらに高度生殖医療の成功率は高まるのではないでしょうか。というのが教授の長い臨床の中で得た結論。日本のお医者さんたちも漢方薬の使用について、子宮内の環境作りに必要なものだと話していました。
 12月に水戸市で行われた不妊症のセミナーの中で、講師のお医者さんは私たちが提唱している、女性を4つの生理周期に分けて治療する周期療法について触れ、「あれは副作用もないし、してていいですよ」と話していたのには驚きました。先生は、不妊治療法の選び方について、その本人が治療を受けて気持ちいいこと、体がよくなっていると実感できることを挙げていました。妊娠力を上げるためには、このことを忘れてはいけないのだと思います。気持ちがいい=リラックス=妊娠という図式が成功への近道なのでしょう。
 最近ちまたでは、エーッというような治療法が宣伝されています。中には、ワラをもすがる思いで治療を受ける方もいらっしゃると思いますが、その時には自分が気持ち良いというキーワードを忘れずに。
 最後に、漢方薬はどのくらい飲んだら効果が現れてきますかという質問を多く受けます。ある有名な漢方医が言っていました。「3日、3ヶ月、3年」。私は、こう理解しています。3日で体の症状がとれ、3ヶ月で検査値や基礎体温が改善され、3年で体質が変わると。
 たまには、スローな気持ちで自分の体をいたわるのも必要なことだと思います。夫婦力をつけるのも忘れてはなりません。これがないと、絶対、無理ですから。

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